みかんのゆるふわ技術ブログ

Raspberry PiやIoT関係のことを書き残していきます

Raspberry Pi OS Full版には何が入っている?

Raspberry Piの公式OSであるRaspberry Pi OSは、3つのエディションが用意されています。

www.mikan-tech.net

普通はDesktop版Lite版を選べばよいと思います。

一方のFull版ですが、これはDesktop版におすすめアプリがプリインストールされたものとなっています。 おすすめアプリとは何かというと、多くはプログラミング教育用の開発環境です。 もともとRaspberry Piは教育用コンピュータとして開発されたものですしね。

具体的には、一体何が入っているのでしょうか?実際にインストールして中身を見てみましょう。

Full版に入っているプログラミング環境

Desktop版とFull版のいちばん大きな違いは、プリインストールされているプログラミング環境が充実していることです。 それも、教育用プログラミング環境です。

f:id:kimura_khs:20200822141153j:plain

Desktop版では、スタートメニューに出てくるのはGeanyというプログラミング用エディタと、ThonnyというPythonのIDEくらいです。

Full版には、それに加え、次のようなものが入っています。

  • BlueJ Java IDE - クラス図が自動で表示されるなどオブジェクト指向の学習に向いたJava開発環境
  • Greenfoot Java IDE - 簡単に2次元の絵を動かせるようになっており、ゲームみたいなものを作りながらJavaが学べる開発環境
  • Mathematica - 有名な数式処理ソフト。買うと何万円もするがなんと無料で使える
  • Wolfram - Mathematicaのベースとなっているプログラミング言語
  • Node-RED - ハードウェア部品(センサー等)やWebAPI、条件分岐などの部品を画面で並べて線でつなぐことでプログラミングができるNode.js開発環境
  • Scratch - 小学生から使える、画面でブロックを並べてプログラミングができる開発環境
  • Sense HAT Emulator - SenseHATという8x8のマトリクスLEDが載ったRaspberry Piのアドオンボードがあるが、それを画面上でエミュレーションする。Pythonで簡単に扱える
  • Sonic Pi - Rubyで音楽が奏でられる開発環境
  • mu - 初心者でも簡単に使えるPython開発環境

ソフトウェア開発を仕事にしている人が使うようなVIsual Studio CodeとかEclipseとかIntelliJみたいなものではなく、小中学生でも使えるようなものがメインになっています。

これらはDesktop版に必要なものだけ後からインストールすることもできますが、 プログラミング教室で多数のRaspberry Piにインストールする手間を考えると、 Full版を使ったほうが便利な場面もありそうですね。

いくつか紹介してみます。

Mathematica (数式処理ソフト)

f:id:kimura_khs:20200822142403p:plain

Mathematicaは有名な数式処理ソフトです。微分方程式、行列演算、多項式の展開、関数のグラフ化をはじめ、膨大な科学技術計算に使用できます。買うともちろん何万円もするソフトなのですが、なんとRaspberry Piでなら無料で使えます。非力なRaspberry Piとはいえ、ちょっとした計算やグラフ化には便利に使えると思います。数学を勉強している人なら、お供に良さそうですね。

Node-RED (ビジュアルプログラミング環境)

f:id:kimura_khs:20200822143109p:plain

Node-REDはブロックを線でつなぐことでプログラミングができる開発環境です。 Node.jsで作られており、ブラウザ上で動きます。商用でも使われることがある本格的な開発環境です。

各種センサーやWebサービスがブロックになっており、センサー値をアップロードするなどの動きが簡単に作れます。 もちろん、条件分岐などの制御構造のブロックもあります。JavaScriptも使えます。

Scratch (小学生でも使えるプログラミング環境)

Scratchは小学生でもプログラミングが楽しく学べるように工夫された、世界的に有名な教育用プログラミング環境です。 うちの近所の子供向けプログラミング教室でも使われています。

f:id:kimura_khs:20200822143703p:plain

ブロックを並べて絵を動かしたり音を出したりできます。 ブロックの形も工夫されており、条件分岐や変数などプログラミングの基本を、視覚的にわかりやすく学べるようになっています。

Sonic Pi (Rubyで音楽)

f:id:kimura_khs:20200822144142p:plain

Sonic PiはRubyで音楽が奏でられるプログラミング言語だそうです。 プログラミング経験のない人でも音楽が作れるように使いやすく作られているとのこと。 これに関しては残念ながら私は詳しいことを知らないのですが、音楽とプログラミングの両方が学べて良さそうですね。

その他

他にもFull版にはLibreOffice(文書作成、スプレッドシート、プレゼンテーションソフトなど)のオフィスソフトや、マインクラフトなどの各種ゲームがプリインストールされています。

まとめ

Desktop版に後からインストールしてもいいのでは?とも思いますが、 プログラミング教室で大量のRaspberry Piをセットアップする用途などの場合はFull版も良いかもしれませんね。

Desktop版にAnsibleとかで必要なものを自動インストールすればいいのでは?という人もいるかもしれませんが、 そこまで得意でない人には良いと思います。

欠点は、インストールイメージがダウンロードするzipファイルで2.5GB、展開すると7GBもあることでしょうか。 Desktop版とお好みに応じて選んでいただければと思います。