前回の記事でMini-ITXパソコンを組み立てましたが、今回はそれにVMware vSphere Hypervisor (ESXi)をインストールします🥰
ESXiとは?
VMware vSphere Hypervisor (ESXi)は、無料で利用できるハイパーバイザーの一種です。 簡単に言うと、1台のマシンで複数のマシンが使えるようになります。
WindowsとLinuxが両方使えたらいいのにな、などと思うことがあるかもしれませんが、ハイパーバイザーならそれができます。 デュアルブートとかではなく、同時に2つ以上のOSを動かすことができます。 といっても、画面をつないでもESXiの画面が出るだけで、WindowsやLinuxはSSHやリモートデスクトップで仮想ネットワーク越しに利用します。 なので、普通の用途というよりもサーバー用途向けです。
VMware PlayerやHyper-Vの仮想マシンはハイパーバイザーとは違って、 WindowsなどのOS上で別のマシンをエミュレーションするものです。こちらもWindowsを使いながらLinuxが使えますが、 これは普通のパソコンのアプリみたいな感じで使えるので、GUIメインで使う場合はこちらのほうが便利でしょう。
仮想マシンはパソコンをエミュレーションするため、オーバーヘッドが大きくなりがちです。 ハイパーバイザーは最低限のオーバーヘッドで複数のOSを動かせますので、開発用途に便利です。
ESXiをインストールしよう
ESXi対応ハードウェア
ESXiは対応ハードウェアがかなり限られています。Windowsはもちろん、Linuxに比べても格段に条件が厳しいです。 かといって公式に対応しているのは高価💸なサーバー製品ばかり…。 自作PCで動かすのは四苦八苦😰する可能性があります。コツとして、よく言われるのは次のようなものでしょうか。
- Intelのネットワークカードを使う(オンボードNICはIntelでもダメな場合あり)
- CPUはIntelを選ぶ
- SSDはIntelかSamsungが無難
など、厳しい条件があります。しかし、公式に対応していなくとも、RealtekのNICなどはドライバもあるため、頑張れば使える可能性があります。 私も過去自作PCやNUCでESXiを動かしてきましたが(4台くらい?)、運も良く、まったく動かなかったことはありません😆
インストールに苦労することは多いですが…。
公式のガイドはこちらにありますのでご参考に。
今回のインストール対象PC
マザーボード | ASRock H410M-ITX/ac |
CPU | Intel Core-i5 10500 |
DRAM | ADATA AD4U3200732G22-D (32GBx2) |
SSD | ADATA XPG SX8200 Pro (2TB) |
CPUクーラー | SCYTHE 虎徹MarkII |
電源 | SilverStone SST-ST30F (SFX 300W) |
ケース | RAIJINTEK METIS PLUS 黒 |
前回の記事にも書きましたが、スペックはこれです。CPUこそ無難にIntelにしましたが、SSDはADATAにしました。見た時お買い得そうだったのと、Intelの2TB SSDが高かったのでそうしました。しかし、これが苦労の要因になってしまいました😇
マザーボードにはIntel I219-VというオンボードNICが載っています。
ESXiのインストール手順
インストールの手順の基本は簡単です。
- ESXiのインストーラーイメージをダウンロード (要アカウント登録)
- USBメモリに起動ディスクとして書き込み
- USBメモリから起動、画面の手順に従ってインストール
これだけです。すんなり行けばの話ですが…。
ESXiのダウンロード
ダウンロードはこちらのページからどうぞ。 無料ですが登録が必要です。ライセンスキーが発行されますので、控えておきましょう。
起動用USBメモリの作成
私の場合、VMware-VMvisor-Installer-7.0b-16324942.x86_64.iso
がダウンロードできました。
これがインストーライメージになっています。起動可能なUSBメモリを簡単に作れるRufusというツールがあるので、これで書き込むと良いでしょう。
インストール
作成したUSBメモリを挿して起動すると、ESXiのインストーラが起動します。 といっても、ライセンスの確認と、インストール先ドライブの選択くらいで、あとは見ているだけで完了します。
私もここまで進んでめでたしめでたし…となるはずが、NICが認識されないというトラブルが発生! IntelとはいえオンボードNICなので仕方ないですね…。 こんな場合でも、不足しているドライバを組み込んだカスタムインストーラーを作れば、インストールできる可能性があります。
カスタムインストーライメージの作成
WindowsのPowerShellを使えば、簡単にカスタムインストーラが作れます。以下のVMware PowerCLIをインストールしましょう。
PowerShellを管理者権限で起動し、次のコマンドを実行するとPowerCLIをインストールできます。
PS> Install-Module -Name VMware.PowerCLI
続いて、ESXi-Customizer-PSというツールをダウンロードします。Githubに最新版があります。ESXi-Customizer-PS.ps1
というファイルをダウンロードしてください。
続いて、不足しているドライバをダウンロードします。実はNICドライバをインストールしても動かず、NVMeのドライバも必要だったので、こちらも入れています。
2021/5/9 リンク切れのご指摘をいただきました。調べると、ESXi7.0 Update1以降ではne1000ドライバがバンドルされており追加不要のようです。また、第10世代Intel NUCなど新しいIntel onboard NICに対応したExperimentalな新しいドライバが、こちらで配布されています。
- Intel NE1000ドライバ
- NVMeドライバ
これら2つのドライバをどこかのフォルダにまとめて入れておきます。ここでは、./pkgdir
に入れました。
この状態で、先ほどダウンロードしたESXi-Customizer-PSを次のように実行します。
PS> .\ESXi-Customizer-PS.ps1 -ozip -v70 -pkgdir .\pkgdir PS> .\ESXi-Customizer-PS.ps1 -izip (上のコマンドで出力されたzipファイル名)
これで、カスタムインストーライメージができます。出てきたisoファイルをRunfsでUSBメモリに書き込んでインストールしてください。
しかし、私の場合これでも動きませんでした😫。どうインストーライメージを作っても、NICかSSDのどちらかが認識されません。
紆余曲折
最初はESXi 7.0をインストールしようとしましたが、ネットで検索しても同じ症状で悩む人の話は見つかるものの解決策が見つからないため断念しました (参考にしたページ)。 やはりIntel製SSD以外はESXiではトラブルが多いようです…。
最終的に1つ前のESXi6.7を使うことにしました。こちらはNVMeドライバは不要で、NE1000ドライバだけ追加したカスタムイメージ作成で、無事インストールが完了しました。
前のバージョンとはいえ、ESXiは新しいマシンで順調に動作しています。紆余曲折ありましたが、何とか動いてよかったです😅